イーグル工業株式会社の一般産業機械業界向け、舶用業界向けの両事業部で進められたCRM導入プロジェクトは、 単なるツール導入に留まらず、現場の意識や文化も塗り替える挑戦となりました。
古き良き営業スタイルが根付いており業務が属人化、新しい取り組みに対する現場からの抵抗——。 多くの企業が直面するこのような「変革の壁」をいかにして乗り越えたのか。 プロジェクトを共にしたご担当者に、その軌跡を語っていただきました。
【インタビュイー】
営業本部営業管理部 金澤様(一般産業機械業界向け担当)
舶用事業部KEMEL営業部 高山様(舶用業界向け担当)
【弊社支援内容】
現状分析に基づくToBe業務フロー策定や要件定義/基本設計、開発ベンダーとのブリッジ役を担う。 また、運用ルール構築やトレーニング・啓蒙活動を通じたCRMの運用定着までを支援し、 最終的にはイーグル工業様自身が自走できる状態を形成。 単なるアドバイザリーに留まらず、「変革のパートナー」としてプロジェクトを支援。
1.プロジェクト開始時の壁
—まずはプロジェクト開始当時、どのような課題に直面していたのでしょうか。
高山様:私が参画した当時、CRMおよび基幹システムが既に導入されていたものの、 システムの全体像を理解している人間が社内に誰もおらず、まさに「ブラックボックス状態」でした。 定期的に起こるシステムエラーのたびにベンダーさんに対処を依頼するものの、全体最適からは程遠い、 継ぎ接ぎ状態。まずはこの絡まった糸を1つずつ紐解きながら、保守性を高めることが急務でした。
金澤様:私たちの事業部では、支店/個人ごとに情報の管理方法が異なるといった情報の属人化が深刻であり、 支店同士や管理側と支店間の連携が取りづらい状況でした。全社で同じデータを見て判断できる基盤が必要という認識はありましたが、 現場からは「入力負荷が増えるだけではないか」「本当に役に立つのか」という懸念の声が多く上がっている状況でした。
中澤(SparkNova):当時の課題は単なるシステム構成の複雑さだけではなく、 「現場のシステムへの不信感」が最大の壁でした。私たちはまず、この「見えない不信感」を言語化し、 どこから優先的に対処すれば現場の協力が得られるか、そこに集中してアプローチを検討しました。
2.絵に描いた餅にしない、徹底した泥臭いアプローチ
—現場の理解を得ながらプロジェクトを推進することは非常に大変だったかと思います。
金澤様:はい。「CRMを使いなさい」という押し付けでは現場は動かないこともわかっており、 私自身も支店で営業の最前線にいた経験から、現場の「もっとこうしてほしい」という思いが痛いほどわかりました。 だからこそ、「上から使え」と言うのではなく、現場と一緒に作り上げていくスタイルを大切にしました。 全国各地の支店に何度も足を運び、現場の声に耳を傾け、実態に即したシステムが構築できるように心がけました。
中澤(SparkNova):我々も一緒に支店を訪問し、時には厳しい意見もいただきながら、様々な要望を収集して方針を固めていきましたね。 ただ、現場主体だけでもうまく進まないため、トップダウンでの推進方法も一緒に検討しました。 上層部からの訴求も時には織り交ぜつつ、「CRM以外の手段では業務が回らない状況」をあえて作り、 CRMを使わざるを得ない状態にしましたね。
金澤様:はい、加えてCRMを最も利活用している社員を表彰するといった取り組みも試した時期がありました。 とにかく「どうすれば現場が動くか」試行錯誤しながらアメとムチのバランスをうまく使い分けられるようにした記憶が残っています。
高山様:私は経理部門出身であったため、まずは営業現場を理解することから始めました。 また、支店によって要望がバラバラであったため、「なぜこの判断に至ったのか」を各支店に対して直接説明し、 現場からの納得感も醸成しながら進めました。SparkNovaさんには、私たちが支店に説明をするため、 またベンダーさんと対等に議論できるよう、複雑なシステム構造を図解し、構造的に整理いただいたことが非常に助かりました。
中澤(SparkNova):特に舶用事業部の場合は、営業部門だけでなく技術部門もスコープに含まれていました。 導入範囲が広かったですが、技術部門のメンバーも巻き込みアイディア出しを長時間会議室にこもって行ったこともありましたね。 関係各所を積極的に巻き込んだことで、各メンバーが自分ごととしてプロジェクトに携わっていただけたと思っています。
3.CRMが業務の軸、そしてデータ利活用の基盤へ
—プロジェクトを経て、具体的にどのような効果を実感されていますか。
金澤様:情報検索の精度や時間が大幅に改善されました。CRM導入前は他の担当者や支店の情報を見ることすら難しかったですが、 CRMからすぐに検索できるようになり、入力データも統一されたため、知りたい情報がすぐ手に入るようになりました。 合わせて集計報告作業の負荷も大幅に軽減したことを実感しています。
また、以前は「自分の案件は自分で持つ」という意識が強かった営業担当者たちが、 今では「他メンバーのためにデータを残す」「入力したデータが部門を越えて活用される」という意識に変わり、 CRMが「営業の軸」として根付いてきたことを感じています。
中澤(SparkNova):CRM導入直後は否定的な意見が多かったものの、 今では社内の議論の場で「CRMを使ってこんな新しいことがしたい」といったポジティブな声が多く挙がっていると伺い、 我々も感銘を受けています。
高山様:舶用事業部ではCRMおよび周辺システムの全体像を理解できる状態になり、 全体最適を意識した機能改善を繰り返してきたことで、以前は月間に何度も発生していたエラーが今ではほぼゼロになりました。 また、各担当者がCRMを業務で使用することが当たり前になり、 事業部として分析に使いたいデータの集積や業務の標準化が大きく進んだと感じています。
中澤(SparkNova):そうですね、舶用事業部は営業も技術も当たり前にCRMを業務で使っており、 データ利活用に必要となるデータが十分に集まってきていると感じます。 言い換えると今後のデータを活用した営業活動や業務効率化を進めるための基盤づくりができたのではないかと思います。
高山様:はい、今後事業部として実現したい姿に向けた基盤の整備ができたので、 データに基づいた意思決定による営業活動の高度化や業務効率の向上が実現できるように進化させていきたいです。
金澤様:私たちも情報の蓄積フェーズから意思決定のための基盤を目指します。 加えて、営業の事務効率向上もCRMを活用して実現させ、その後はAIを活用した計画業務の改善など新しいことにも挑戦し、 これまでSparkNovaさんと作り上げてきたCRMをさらに育てていきます。
4.なぜSparkNovaは長年のパートナーであり続けられたのか
—どういった点がSparkNovaの良かったところでしょうか。
金澤様:SparkNovaさんは抽象的な要望を具体的なシステム機能へと翻訳し、ベンダーさんに繋いでくれる「通訳者」でした。 また、社内だけで進めていたら、過去のやり方に引っ張られていたと思いますが、 客観的な視点や他社事例も踏まえた提案をしていただけました。
ただそれ以上に、現場に寄り添い、弊社側の業務を深く理解しようとする姿勢、 目先だけではなく将来のことまで考えてくれるところが、これだけ長い関係性に繋がっていると思います。 また、仕事以外の話もフランクにできる間柄でもあり、会社は違いますが "私たちはワンチームである"という感覚が常にありました。
高山様:1番は私たちを「依存」させるのではなく、「自走」させようとしてくれた点です。 いつも近くで推進してくれたおかげで、プロジェクトマネジメントや開発成果物のチェック観点、 複雑な課題の整理方法などを学ぶことができました。 その結果、私たちのプロジェクト推進能力が底上げされ、 今後私たちだけでもプロジェクトを前に進められる自信がつきました。
このように単なるアドバイザーではなく、パートナーとして伴走し、クライアントの「自走」を促す支援の形が、 SparkNovaさんの強みではないでしょうか。
イーグル工業株式会社について
1964年に、NOK株式会社のメカニカルシール製造部門が独立し、日本シールオール株式会社として設立され、 その後1978年に現在のイーグル工業株式会社に社名を変更。 自動車・建設機械、一般産業機械、半導体製造装置、船舶、航空機・ロケット向けのメカニカルシール、 特殊バルブ等を製造・販売し、グローバルに事業を展開。